SDGs 目標15. 陸の豊かさも守ろう

SDGsには17の大きな目標があり、それぞれに平均10個ずつくらい同じようなターゲットが存在し、合計で169個あるので169のターゲットと言われています。

17の目標と169のターゲットについて子供にも理解しやすいようにまとめて、ぞれのターゲットについて考えていきたいと思います。

目次

15.陸の豊かさも守ろう

私たちが吸う空気や飲む水、さらには口にする食料に至るまで、森林は生命を維持する大切な役割を果たしています。

地球に住む約16億人の人が森林に生計を依存しており、世界の貧困層のほぼ75%は、土地劣化の直接的な影響を受けていると言われています。  

ただし、森林は人間に対してだけ豊かさを提供しているわけではありません。陸生動植物・昆虫種全体の実に80%が森林を住処としています。つまり、森林は生物の宝庫です。

しかしながら、すでに知られている8,300種の動物種のうち、8%はすでに絶滅し、さらに22%が絶滅の危機に瀕しています。

こうした陸の豊かさを守らなければ、生物の多様性は急速に失われてしまいます。

(出典:国際連合広報センター公式サイト)

目標15のターゲット

15-1 2020年までに、国際協定の下での義務に則って、森林、湿地、山地及び乾燥地をはじめとする陸域生態系と内陸淡水生態系及びそれらのサービスの保全、回復及び持続可能な利用を確保する。

15-2 2020年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再植林を大幅に増加させる。

15-3 2030年までに、砂漠化に対処し、砂漠化、干ばつ及び洪水の影響を受けた土地などの劣化した土地と土壌を回復し、土地劣化に荷担しない世界の達成に尽力する。

15-4 2030年までに持続可能な開発に不可欠な便益をもたらす山地生態系の能力を強化するため、生物多様性を含む山地生態系の保全を確実に行う。

15-5 自然生息地の劣化を抑制し、生物多様性の損失を阻止し、2020年までに絶滅危惧種を保護し、また絶滅防止するための緊急かつ意味のある対策を講じる。

15-6 国際合意に基づき、遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を推進するとともに、遺伝資源への適切なアクセスを推進する。

15-7 保護の対象となっている動植物種の密猟及び違法取引を撲滅するための緊急対策を講じるとともに、違法な野生生物製品の需要と供給の両面に対処する。

15-8 2020年までに、外来種の侵入を防止するとともに、これらの種による陸域・海洋生態系への影響を大幅に減少させるための対策を導入し、さらに優先種の駆除または根絶を行う。

15-9 2020年までに、生態系と生物多様性の価値を、国や地方の計画策定、開発プロセス及び貧困削減のための戦略及び会計に組み込む。

達成のため方法

15-a 生物多様性と生態系の保全と持続的な利用のために、あらゆる資金源からの資金の動員及び大幅な増額を行う。

15-b 保全や再植林を含む持続可能な森林経営を推進するため、あらゆるレベルのあらゆる供給源から、持続可能な森林経営のための資金の調達と開発途上国への十分なインセンティブ付与のための相当量の資源を動員する。

15-c 持続的な生計機会を追求するために地域コミュニティの能力向上を図る等、保護種の密猟及び違法な取引に対処するための努力に対する世界的な支援を強化する。

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砂 漠 化

砂漠化とは「乾燥、半乾燥、乾燥半湿潤地域における、気候変動および人間の活動を含む種々の要因に起因する土地の劣化」として定義されています。

毎年240億トンの土壌が浸食によって失われ1,200万ヘクタールの土地が干ばつによって劣化し、砂漠化しているといわれています。

これは、一分間に23ヘクタール(東京ドームおよそ5個分)の土壌が失われていることと同義です。

一度表土が失われると取り戻すには数世紀もの年月が必要となるので問題はとても深刻です。

砂漠化の影響を受けやすい乾燥地域には世界人口の約35%が暮らしています。

砂漠化が進行すると、食糧安全保障の欠如、飢餓、貧困などが生じる可能性があります。

すでにこうした現象は起こっており、今後も砂漠化が進行すれば、何百万という人々が新たな住宅と生計を求めなければならなくなってしまいます。

(出典:国際開発センター公式サイト)

世界の取り組み内容

世界で陸の豊かさも守るために取り組まれているものの例として、下記の様な取り組みがあります。

  1. ワシントン条約
  2. ラムサール条約
  3. カルタヘナ議定書(カルタヘナ法)
  4. グリーン・コモディティ・プログラム

様々な課題を解決するためには、世界の国々と協力することが重要です。
また森林や陸の生物を守るためには、条約を結びルールを守る必要があります。

実際に取り組まれた実績としては、生物を密猟から防ぎ、絶滅から守るために結ばれたワシントン条約の締結やラムサール条約などがあります。

ワシントン条約とラムサール条約では、生態系に関して取締りを行っており、密猟や違法取引を禁止することで、生態系の保護を目的としています。

ワシントン条約は1973年3月3日にワシントンD.C.で採択され,1975年7月1日に発効されました。
また2020年時点で世界182カ国及び欧州連合が締約しており、日本は1980年11月4日に締約国となっています。

締約国会議は,ワシントン条約が締結された1979年から2年に一度、2004年からは3年に一度開催されています。

生物多様性条約は3つの目的を掲げた国際条約であり、 生物多様性の保全、持続可能な利用、 遺伝資源の利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分というものがあります。

カルタヘナ議定書とは2003年に遺伝⼦組換え⽣物の国境を越える移動の際に、生物多様性の保全や持続可能な利用に悪影響を及ぼさない、安全な移送や取り扱いに注意する、など十分な保護を確保するための措置を定めたものになります。

日本ではこれを実施するためのカルタヘナ法が2004年に施行され、2017年時点で170カ国及び欧州連合(EU)、パレスチナが締結しています。

(出典:文部科学省「カルタヘナ法について」,2017)
(出典:環境省「ラムサール条約と条約湿地」)
(出典:外務省「ワシントン条約」)
(出典:外務省「砂漠化対象条約」)

日本は世界有数の森林国

林野庁がおおむね5年ごとに「森林資源の現況」調査をしています。

その調査によると、2017年(3月末)の日本の森林面積は国土面積全体の3分の2に当たる2505万ヘクタールで、前回調査の12年(2508万ヘクタール)からわずかに減少しています。

森林資源量の目安となる森林蓄積(森林を構成する樹木の幹の体積)は、52億4200万立方メートル。この数字は1966年(18億8700万立方メートル)に比べ、約3倍となっています。

森林面積はこの50年間、ほぼ一貫して2500万ヘクタール強の水準で推移している。

内訳をみると、「天然林」が1966年には1551万ヘクタールだったのに対し、2017年には1348万ヘクタールに減少。逆に「人工林」は、1966年の793万ヘクタールから2017年には1020万ヘクタールに増えた。

人工林は今や、日本の森林面積の約4割を占めています。

一方、森林蓄積は、1981年の24億8400万立方メートル、90年の31億3800万立方メートル、2002年の40億4000万立方メートル、12年の49億100万立方メートルなど、一貫して増加傾向にあります。

蓄積の内訳をみると、「天然林など」が1966年の13億2900万立方メートルから2017年には19億3300万立方メートルに、「人工林」が1966年の5億8800万立方メートルから2017年には33億800万立方メートルに増大。

植栽後に大きく成長する人工林の伸びが目立っています。

都道府県別森林率 林野庁

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表する世界森林資源評価(FRA)の2015年版の報告書によると、日本の森林率(陸地面積に占める森林面積の割合)は68.5%で、OECD加盟34ヵ国の中でフィンランド73.1%に次ぐ第2位です。

人工林の面積もトップの中国、米国、ロシアなどに次いで世界で第7位の水準にあります。

高齢化が進む日本の森林 原因と課題

花粉症を発生させる原因にもなっている大量のスギの森林が生まれた背景には、戦後の農林省(現農林水産省)の植林政策が影響しています。杉はこの50年大きく伸た人工林です。

林野庁のデータの通り、森林の6割が天然林、4割が人工林といわれています。

現在の人工林の大半はスギやヒノキといった針葉樹が占め、戦中戦後の混乱期の建設資材や燃料の不足を補うため、広葉樹を伐採したあとに植林されました。

第二次世界大戦によって荒廃した森林の復活は、単に木材を調達するだけでなく、平野部での雨水の調整や、河川への養分の補給という意味でも大きな課題でした。

農林省は手早く森林を復活させるために、生育が早くて手間のかからないスギを各地に植林していったのです。1957年には国有林生産力増強計画をたてて、建材用として天然林を伐採し、スギを中心とした樹種への転換を図りました。

この政策によって70年代の高度経済成長時代に盛んになった住宅建設は、国有林に戦前から植えられていた良質の天然木が材料となり、その成長の下支えをしてきたのです。

ところが時代が下ると、円高による外国材の輸入増加や建築工法の変化によって、国産材は需要の減少から価格も低迷し、林業は産業として成り立たなくなりました。

経済の原理によって森林の育成は後回しとなり、伐っても売れない、売れても安い、そのため山は誰にも顧みられずに荒廃していくという悪循環に陥ってしまったのです。

一気に安い外材が入り日本人工林は市場原理により伐採されず、太くおおきくなり過ぎて、用途が少なくなり、価格も更に安くなり、伐採されない状況が続き、収穫適齢期を過ぎてしまっている現状です。

人工林のスギやヒノキは、定期的な間伐や枝打ちなどの管理をすることにより、根がしっかり張って立派な木となり保水性を上げ災害対策の役割を担います。

海外から価格の安い木材が輸入され、国産木材の需要が低下したことから、間伐や枝打ちが行われなり、根が張らない、放置された人工林が全国で増えている現状です。

放置された人工林では、本来の森林が持つ土砂災害防止機能や水源涵養機能が十分に発揮されないという問題があり、近年の大型台風や集中豪雨により各地で土砂災害が発生しています。

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わたしたちにできることは意外と身近にある!

「SDGs 15.陸の豊かさも守ろう」達成のために、わたしたちにできることは意外と身近にあります!

下記のように、すぐできることは多いです。

  • 「森がなくなったらどうなる?」「生き物が絶滅したら何がだめなの?」といった問題に向き合う
  • 絶滅の危機に瀕している生き物を調べる
  • FSC認証マークが付いている製品を探す・購入する
  • 地域で行っている環境に関する取り組みに参加(植林活動や生き物調査など)

リサイクル

3Rは Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)のことです。

Reduce(リデュース)は、製品をつくる時に使う資源の量を減らすこと、Reuse(リユース)は使用済製品等を繰り返し使用すること、Recycle(リサイクル)は廃棄物等をエネルギー源や原材料として有効に利用することなどです。

不要になったものでも、すぐに捨てるのではなく再活用できないか、リサイクルに回せないかなどを一度考えてみてはいかがでしょうか。

(出典:リデュース・リユース・リサイクル推進協議会(3R推進協議会)公式サイト)

必要なものに限った消費

消費者の立場では、無駄なゴミやロスを減らすため原産地での環境や社会的問題に関心をもつと良いでしょう。

認証商品を購入したり、必要なものだけを計画的に買い、衝動買いを止めるだけでも貢献できます。

また、地産地消・旬産旬消を心がけると食料の輸送に伴う温室効果ガスの削減、流通時間の削減につながり、フードロスの削減にもつながります。

旬産旬消は、旬に旬の物を消費することで収穫時期をずらすためのエネルギー消費などの削減が期待されている取り組みです。

環境保全、動物保護を行っている団体を応援

国内外では環境保全、動物の保護を目的に多様な支援活動が行われています。

私たちが日常でできる個人レベルの取り組みに加え、こうした団体を寄付により支援することで、間接的に環境保全や動物保護の取り組みに貢献することができます。

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