SDGs 蓄電池で未来を変える 電気運搬船のパワーエックス

SDGsには17の大きな目標があり、それぞれに平均10個ずつくらい同じようなターゲットが存在し、合計で169個あるので169のターゲットと言われています。

今回は、エネルギー自給率の低い日本において蓄電池技術の進化により、エネルギー自給率を上げることにチャレンジしているベンチャー企業パワーエックスとその社長伊藤正裕氏について紹介します。

伊藤ハムの御曹司が挑むエネルギー課題の解決

パワーエックス伊藤正裕社長

パワーエックスとその社長伊藤正裕氏について最近YouTube番組「日経テレ東京大学」のインタビューで知りました。

高校卒業と同時に企業した経歴も興味深いですし、伊藤ハム創業者の孫であり家業を継がず起業し、自らが情熱を注げることにチャレンジしている話にも感銘を受けました。

伊藤ハム家系図

◆伊藤伝三
 1908年 誕生
 1946年 伊藤食品工業設立
 1948年 伊藤栄養食品工業社長
 1961年 伊藤ハム栄養食品社長
  父:
  母:
  妻:キヌエ
    長男:伊藤研一
    二男:伊藤協治
    三男:伊藤正視

◆伊藤正視
 1941年 誕生
 伊藤ハム栄養食品入社
 1970年 伊藤ハム栄養食品取締役
 1977年 伊藤ハム栄養食品常務
 1986年 伊藤ハム専務
 2002年 伊藤ハム社長
  父:伊藤伝三
  母:キヌエ
  妻:啓子
    長男:伊藤正裕

経 歴

1983年(昭和58年) 9月 – 伊藤ハムの創業者の伊藤傳三の孫として生まれる。

2000年(平成12年) 12月 – 17歳で株式会社ヤッパ(現 ZOZOテクノロジーズ)を設立。Javaベースの3Dをコアとしたソリューション及びサービスを、自動車、電機、小売、通信、出版業界等へ販売開始する。設立時の称号は株式会社ヤッパ。社名の由来は「やっぱり」の「やっぱ」から。

2004年(平成16年) 7月 – 第29回経済界大賞 青年経営者賞受賞。

2005年(平成17年) 日本ファッション協会主催 日本クリエイション大賞2005 – 企業奨励賞受賞。

2014年(平成26年) 7月 – 株式会社スタートトゥデイ(現 株式会社ZOZO)にヤッパの発行済みの全株式を売却し、同年10月に同社の傘下入りした。

2015年(平成27年) 12月 – 株式会社ヤッパを改称した株式会社スタートトゥデイ工務店(現 株式会社ZOZOテクノロジーズ)社長CEOに就任。

2017年(平成29年) 6月 – 株式会社ZOZO 開発担当取締役に就任。PB事業や計測技術(ZOZOSUIT)の開発などを担当。

2019年(令和元年) 9月 – 株式会社ZOZOとYahoo! JAPANとの間で資本業務提携契約が締結され、取締役COOに就任。

2020年(令和2年) 2月 – スマホで簡単に足の3Dサイズが計測できる「ZOZOMAT」を開発、ZOZOTOWN上でのサービスを開始。

2020年(令和2年) 10月 – より精緻な身体3Dモデルの生成を実現した3D計測用ボディースーツ「ZOZOSUIT 2」を発表。

2021年(令和3年) 1月 – スマホでフェイスカラーの計測が可能な「ZOZOGLASS」を発表。ZOZOTOWN上のコスメ専門モール「ZOZOCOSME」の3月18日オープンを発表。

2021年(令和3年) 3月 – 株式会社パワーエックスを創業

2022年(令和4年) 2月 – 株式会社スノーピークの社外取締役に就任。

ウィキペディア 参照

YouTube番組「日経テレ東京大学」では株式会社ヤッパの電子書籍技術とZOZOのファッション誌のコラボレーションの為、株式交換という形で自ら起業した会社を10数億で売却された事を話されています。

その電子書籍部門の親和性は思ったほどよくなくZOZOを去る選択肢もありながら、別の形でZOZOに貢献するため、ZOZOのテクノロジーに関する部門の統括責任者となります。

話題になった(ZOZOSUIT)スマホでフェイスカラーの計測が可能な「ZOZOGLASS」などの開発に携わります。

ZOZOにおいても存在感を高めていましたが、地球温暖化、脱炭素に貢献するために洋上風力発電の電気を船舶で運ぶ事業を構想し2021年(令和3年) 3月 – 株式会社パワーエックスを創業します。

株式会社パワーエックス

2021年3月に創業されたパワーエックス(東京・港)は、洋上風力発電の電気を船舶で運ぶ事業を構想しています。

対談番組の伊藤社長の話しによると、洋上風力発電の開発が進んでいるイギリスでは風力が強い陸地から100km離れた海上で既に洋上風力発電が行われている様です。

洋上風力発電の課題となるのが送電ケーブルで一度送電ケーブルに何らかの故障が発生すると復旧に60日~90日程度かかるそうです。

地震の多い日本においては送電ケーブルのリスクやコストが高く洋上(海に浮いた)風力発電は進んでいないようです。

洋上風力で発電した電気は海底ケーブルで送電する場合、敷設には1キロメートル当たり約1億~2億円かかるとされています。ケーブルの代わりに蓄電池搭載の船で陸上変電設備まで運ぶことで、コストを抑えられると見込んでいます。

洋上風力発電の電気を船舶で運ぶ事業が実現すれば送電ケーブルを海底に敷設する必要がなくなるため、風車の設置場所の選択肢が広がります。

電気運搬船の実現には、船の建造コストや運航体制、蓄電池の性能などの面で課題も多いのが現実です。

伊藤社長は40歳を目前に控えて「人生の折り返し地点」を意識するようになる中、「これからの20~30年をかけ、ライフワークとして次世代の課題解決に挑戦してみたいとの思いが高まってきた。うまくいけば世界を変えられる可能性もある」と語っています。

パワーエックスMission

風、水、太陽
自然が生み出す電力を、バッテリーに溜めて「船」で運ぶ。
電気の燃料を運ぶ時代から、電気そのものを運ぶ未来へ。
自然エネルギーの爆発的普及のために、
つくる、溜める、運ぶ、の全てをデザインする。
それが、私たちのミッションです。

パワーエックス サイト
パワーエックス洋上風力発電所でつくった電気を運ぶ電気運搬船を開発

パワーエックスに関する記事

造船最大手の今治造船は洋上風力発電所で生み出した電力を「電気運搬船」で輸送する構想を掲げるスタートアップ、パワーエックス(東京・港)と資本提携を結んだ。

同社が発行する新株予約権を引き受け、約10億円を出資する。

2025年までに初号船を完成し、試験運航を共同で実施していく。

3日発表する。両社は22年1月から電気運搬船の設計を始め、22年中にも建造に着手する。

初号船ではコンテナ船の構造設計を応用し、容量数万キロワット時の蓄電池を搭載する方針だ。

動力源は電気か液化天然ガス(LNG)で検討している。

建造費は数十億円かかるとみられる。

パワーエックスは25年ごろから日本近海で電力輸送試験を始め、運航性能や安全性を確認する。

洋上風力事業に参入する大手電力などと連携し、風車を海面に浮かべる「浮体式」の発電所での導入を狙う。

2021年12月2日 日経新聞

エネルギー自給率の推移

2019年度の日本の自給率は12.1%で、他のOECD諸国と比べても低い水準です。

今年に入ってからのウクライナ紛争などエネルギーの安定供給に関して海外の依存度を下げる事は安全保障に関わる近々の課題でもあおります。

太陽光発電や洋上風力発電等自然エネルギーの活用でエネルギー自給率を上げるにしても蓄電技術の進歩は欠かせません。

脱炭素においても一番の化石燃料を使用している中国が温暖化対策を進める民主主義陣営よりもより国力が増す状況下において、テクノロジーにより、自然エネルギーの生産コストを下げる事にチャレンジしているベンチャー企業を応援したいと思います。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする