SDGsには17の大きな目標があり、それぞれに平均10個ずつくらい同じようなターゲットが存在し、合計で169個あるので169のターゲットと言われています。
今回は、4月1日から施行されたコンビニエンスストアやスーパーで無料で配られるプラスチック製のスプーンなどの使用量を減らす「プラスチック資源循環促進法」について紹介します。
以前このブログで「SDGs 目標14.海の豊かさを守ろう」の一環でスタートしたレジ袋有料化や「割り箸を今こそ復活!」について紹介しました。
プラスチックに係る資源循環の促進の概要
以下が環境省のサイトで記された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」の概要です。
1.設計・製造段階 『プラ製品の設計を環境配慮型に転換』
- 製造事業者等向けのプラスチック使用製品設計指針(環境配慮設計指針)を策定するとともに、指針に適合したプラスチック使用製品の設計を認定します。
- 国等が認定製品を率先して調達することやリサイクル設備を支援することで、認定製品の利用を促します。
2.販売・提供段階 『使い捨てプラをリデュース』
- コンビニ等でのスプーン、フォークなどの、消費者に商品やサービスとともに無償で提供されるプラスチック製品を削減するため、提供事業者に対し、ポイント還元や代替素材への転換の使用の合理化を求める措置を講じます。
- これにより、消費者のライフスタイル変革を促します。
3.排出・回収・リサイクル段階 『排出されるプラをあまねく回収・リサイクル』
- 市町村が行うプラスチック資源の分別収集・リサイクルについて、容器包装プラスチックリサイクルの仕組みを活用するなど効率化します。
- 使用済プラスチックについて、製造事業者等の計画を国が認定することで廃棄物処理法上の許可を不要とする特例を設けます。
- 産業廃棄物等のプラスチックについて、排出抑制や分別・リサイクルの徹底等の取組を排出事業者に求める措置を講じるとともに、排出事業者等の計画を国が認定することで廃棄物処理法上の許可を不要とする特例を設けます。
提供業者の使い捨てプラ削減の取組み
4月1日から施行された「プラスチック資源循環促進法」では、事業者に対し、削減計画を立てて使用量を減らすよう義務付けが行われました。
特定プラスチック使用製品提供事業者の業種
対象製品ごとに以下の業種を指定。⇒表の(B)
なお、主たる事業が下記の対象業種に該当しなくても、事業活動の一部で下記の対象業種に属する事業を行っている場合には、その事業の範囲で対象となります。
対象製品(A) | 対象業種(B) |
---|---|
①フォーク ②スプーン ③テーブルナイフ ④マドラー ⑤飲料用ストロー | ●各種商品小売業(無店舗のものを含む。) ●飲食料品小売業(野菜・果実小売業、食肉小売業、鮮魚小売業及び酒小売業を除き、無店舗のものを含む。) ●宿泊業 ●飲食店 ●持ち帰り・配達飲食サービス業 |
⑥ヘアブラシ ⑦くし ⑧かみそり ⑨シャワーキャップ ⑩歯ブラシ | ●宿泊業 |
⑪衣類用ハンガー ⑫衣類用カバー | ●各種商品小売業(無店舗のものを含む) ●洗濯業 |
上記の法改正に伴い、主な企業に日経新聞がインタビューした記事抜粋し紹介します。
材木などの代替素材への転換の対応を取り始めた企業も多くあります。
環境省の調査によると、有料化する事業者は比較的少ないという現状です。
削減目標の設定は現在各事業者に委ねられていますが、全然減っていなかったり、増えたりした場合などには50万円以下の罰金が科されることもあります。
主な企業のプラスチックゴミ削減取組み
有料化
「餃子の王将」を展開する王将フードサービスは持ち帰り用のスプーンを1日から有料化しています。
全国の700店舗超で、持ち帰りのスプーンやレンゲを1本5円で提供する。
取材によると「かつてのレジ袋有料化を鑑み、有料化がプラ削減に効果的と考えた」
素材改良
有料化に踏み切る企業は少なく、植物由来のバイオマスプラスチックを配合したり、紙・木製に素材を変更したりする対応が多い様です。
- ちゃんぽん店を展開するリンガーハットは持ち帰りで提供するスプーンについて、1日からバイオマス素材を25%配合したものに変更します。
- スターバックスコーヒージャパンもスプーンやフォークなどを従来の石油由来から海水中で生分解できる植物由来のプラに3月中旬から順次切り替えてます。
- プラ製品の提供が多いコンビニでは、セブン―イレブン・ジャパンがバイオマスプラ素材を30%配合したスプーンやフォークを全国の店舗で1日から順次導入しています。
- ファミリーマートはプラ製のフォークの提供を廃止する方針です。
- 帝国ホテルは4月から歯ブラシなどのアメニティーを竹や木材などの代替素材に順次置き換えていきます。
消費者への負担はレジ袋と違い各企業の取組みで受け入れられないこともあると思います。
有料と素材改良であれば、改良が理解を得るように思われます。
実際企業側も客離れやレジシステムの更新等から素材改良など費用負担を求めない動きに動いています。
まとめ
日経新聞の記事によると今回の施策で削減対象となるプラ製品の国内流通量は10万トン弱にとどまります。
日本全体のプラスチックの排出量は年850万トン程度で、1%程度にしかすぎません。
プラごみは海に流出して環境問題になっているだけでなく、脱炭素の観点でも削減が重要だ。
国内では温暖化ガスの総排出量の1%強にあたる年1500万トンをプラスチックの燃焼で排出しています。
菅政権時の令和2年10月26日に開会した臨時国会の所信表明演説で、国内の温暖化ガスの排出を2050年までに「実質ゼロ」とする方針を表明しました。
政府が目標を宣言することで政策は大きく変化します。
買物袋有料化に際してもゴミ排出量からするとわずかで愚策と揶揄されますが、少しずつ世の中の意識が変化していうことには一定の効果はあったと思います。
欧州のルールチェンジの合わせる形ですがポジディブにビジネスチャンスと捉え進めていく必要があると思います。
SDGsについて興味を持つことや昨年から続く新型コロナ感染で、今までの常識が大きく変化していくことを感じます。
「強い者、賢い者が生き残るのではない。変化できる者が生き残るのだ。」は進化論で有名なダーウィンの名言です。
多くの情報が日々更新される中で、自らの最適解を導きだすには色々な意見から固執せず多様性を受け入れる感覚が必要と感じています。
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