SDGs ハーバード大学 化石投資から撤退の背景

SDGsには17の大きな目標があり、それぞれに平均10個ずつくらい同じようなターゲットが存在し、合計で169個あるので169のターゲットと言われています。

現在地球温暖化対策を議論する第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)の開幕しています。

そのような中、今年9月、ハーバード大学が化石燃料への投資を行わないことを発表したニュースについて背景等紹介します。

目次

化石投資から撤退の背景とは

今や6兆円近い寄付資産額を運用する同大学のファンドが、化石燃料の開発を手掛ける企業への投資から、グリーンな使途へ振り向ける方針を示しました。

ハーバード大学基金の高い運用成績をは有名で平均利回りは1割以上で投資信託と比較しても遜色のない数字です。

長年にわたりのこれだけの運用利回りを実現してきたというのはスゴイことですしハーバードの未来を見据えた投資内容の変更はその他の大学基金にもインパクトを与えています。

ローレンス・バコウ学長は「経済を脱炭素化する必要性と、教育・研究目的を支える長期的な投資決定を行う受託者としての責任を考えた」と説明しています。

その後5週間で、9大学が化石燃料からの撤退を発表する大きな流れと続いています。

このニュースだけを見ると、大学も世界的なESG投資に舵を切り始めたという感想ですが、ニュースピックスの記事によると、この判断は大学側が自ら決めたものではないようです。

むしろ、真相は真逆で、ハーバード大学の学生や卒業生らが長年、大学側に突きつけていたダイベストメントの要求が認められる格好となったようです。

学生や卒業生からのダイベストメントの要求とは

ダイベストメントとは、本来投資している株式や債券、投資信託などを手放したり融資している資金を引きあげたりすることを意味します。

近年は特に石油・石炭などの化石燃料に投資している企業に投資を引き上げさせる運動をさすこともあります。

歴史を辿れば、南アフリカ共和国の人種差別政策「アパルトヘイト」への抗議やタバコ産業への抗議など、ダイベストメントの手法は気候分野に限らずに有効な社会運動として行われてきました。

気候ダイベストメント運動は、最初はたった数人の大学生から始まりました。

2011年、アメリカペンシルバニア州スワスモア大学の学生たちは、大学が寄付基金を石炭採掘事業に投資していたことを突き止めたのです。

学生たちは大学と交渉し、事業から投資を撤退してほしいと訴えました。

2008年にやはり数人の大学生と教師により設立された350.orgは2012年、世界中の化石燃料産業からダイベストメントを求める運動を呼びかけました。

当初は大学などの教育施設、宗教組織、慈善財団などが主流でしたが、今では地方自治体、年金基金や金融業界にまで広がりを見せています。

EnergyShift 記事抜粋

このようにアメリカでは学生を中心に広がりをみせていて卒業生の団体には、大学の理事会にダイベストメントを支持する卒業生を選出させるなどの動きも始まっています。

このような背景で大学側は外堀を埋められていき、若い世代の運動が実を結び始めています。

米Z世代の「キーワード」プログレッシブ

なぜハーバードの学生や若い世代が、ダイベストメントを求めるのかはアメリカにおけるZ世代たちが熱狂的に支持するイデオロギー「プログレッシブ」を理解する必要があります。

プログレッシブとは「進歩派」と呼ばれ、リベラルと呼ばれる民主党においても左派に位置する集団です。

Z世代たちが熱狂的に支持するイデオロギー「プログレッシブ」については若者のカリスマ「オカシオ=コルテス」について理解すると理解が深まります。

アメリカの分断については、先の大統領選挙においても大きく報道されました。

一部の暴徒化したトランプ支持者連邦議会議事堂を占拠し、銃撃で1人を含む4人の死者を出すなど、前代未聞の大惨事は衝撃的でした。

その大統領選の取材において、都市部を中心としたZ世代にはバイデン・トランプ両陣営は支持されていませんでした。

選挙戦中盤までのとりわけ都市部のZ世代においては、民主党の中でも左派に大きな共感を持つ層が急速に増えている印象がありました。

選挙結果の支持層調査によると、35歳以下の大半が、中道に位置するバイデン氏(3%)ではなく、プログレッシブのバーニー・サンダース氏(53%)を支持していたようです。

若者がプログレッシブに熱狂する背景には、彼らがリーマンショックやコロナによる貧富の差拡大など「資本主義の不条理」を体感していることがあります。

そして、彼らにとっては格差是正や国民皆保険、ダイバーシティなどの政策と並び、気候変動がトップイシューに位置していることが今回のムーブメントとなっています。

少子化が進む日本とは違い、米国ではZ世代の割合が増え、今後は有権者の大きな割合を占めていきます。

数のパワーでも、若者の主張は、実際の政治や経済に反映され始めていることから、アメリカで起こっているプログレッシブの兆候は更に世界に波及していく可能性もあるように思います。

ニュースピックスの記事 参考

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