ESG 偽りの環境対策に高まる批判

SDGsには17の大きな目標があり、それぞれに平均10個ずつくらい同じようなターゲットが存在し、合計で169個あるので169のターゲットと言われています。

今回は、SDGSと関連し気候変動がもたらす深刻な脅威に対処しようとする試みの一つであるESG(環境・社会・企業統治)投資について、環境対策で高まっている批判について紹介します。

目次

偽りの環境対策に高まる批判

英国を代表する老舗政治経済誌The Economistエコノミストによると、ESG投資における偽りの環境対策に批判が高まっています。

残念ながら、ESGの3文字は誇大宣伝と論争の材料に転じた。

米国の右派政治家は、ガソリンの値上がりは気候変動対策の名のもとに企業が結託する「気候カルテル」のせいだと批判し始めている。

環境への配慮を誇大にアピールして顧客や投資家を欺く「グリーンウォッシュ」を告発する声も上がっている。

米金融大手ゴールドマン・サックス、ドイツ銀行を含む多くの企業がグリーンウォッシュを疑われ、規制当局が調査に乗り出している。

ESGはおおむね善意に基づいていても、深い問題を抱えている。

企業に相矛盾する目標設定をさせる危険がある。

また、社会・環境意識の高い人々から収奪し、気候変動対策という肝心な取り組みから注意をそらせかねない。

こうした問題を解消するには容赦ない整理も必要になる。

ESGという言葉は2004年に生まれた。

投資家は、決算結果だけではなく、環境や社会に関する過去の実績やガバナンスに基づいて、数値スコアを使用しながら、企業を評価、判断すべきだという発想だ。

ESGを投資の主流に押し上げた要因はいくつかある。

その一つは、地球温暖化や社会の不公正などの問題を投資を通じて是正しようとする人が増えたことだ。

本誌の関連会社を含め、ESG分析を提供する企業は増えている。

多くの難題を前に身動きの取れない各国政府に代わって、企業が社会的問題を解決し、株主だけでなくサプライヤーや従業員を含む全ステークホルダー(利害関係者)の利益のために尽くすべきだと考える人は少なくない。

資産運用業界の利益につながる面もあった。

運用会社はこれまで投資先企業の善悪までは吟味してこなかったが、長らく手数料収入の減少に直面するなかで、持続可能性(サステナビリティー)をうたう金融商品を販売することで手数料を引き上げ、減収を補う道を見いだしたのだ。

The Economistエコノミスト

ESG関連を謳うことで投資が集まるのであれば企業経営は、そちらに舵を切るのは当たり前のことですが、「SDGウォッシュ」や「グリーンウォッシュ」から分かる通り誇大アピールの恐れもあります。

ESGには根本的な問題

The Economistエコノミストでは、ESGの根本的な問題を3点指摘しています。

(1)一貫した指針を示していない

ESGは多様な目標をひとまとめにしている為、社会で相反する利害を前に意思決定するトレードオフが避けられません。

トレードオフするにしてもESGは投資家や企業がそれを整理して判断するための一貫した指針を示していないという問題があります。

米電気自動車(EV)大手テスラの最高経営責任者(CEO)であるイーロン・マスク氏はコーポレートガバナンスの面では問題が多い人物だが、EVを普及させることで気候変動対策を後押ししている。

炭鉱閉鎖は地球環境にとって望ましくても、関連する供給業者や従業員にはマイナスだ。

風力発電事業者は多数の設備を現地の生態系を損なうことなく短期間で建造できると主張するが、本当だろうか。矛盾が存在しないのか、簡単に解決できるかのように装うESGは、欺瞞(ぎまん)を内包している。

The Economistエコノミスト

(2)関連業界がESGがもたらす見返りを明瞭に説明していない

良い企業行動は企業と投資家の双方により大きな利益をもたらすと主張しています。

実際の企業行動としては、企業が世間の厳しい目に耐えられるのであれば、環境汚染対策のコストを自己負担するよりも、社会に回した方が企業収益が良くなる事例も多くあります。

このような矛盾から企業としての美徳と好業績の間の関連性に疑問がついて回ります。

(3)ESGの測定方法

スコアリングシステムによって判定が大きくばらつき、スコアの操作も容易できる課題がります。

企業の信用格付けにおいては、様々な機関による格付けの間には99%の相関があるが、ESG格付けの相関は5割強にすぎない様です。

企業は問題のある資産を他社に売却すればESGスコアを改善できますが、新しい所有者が資産の運営方法を変えない限り、現実の問題は解決してい事となります。

こうしたまやかしに気付いた投資家たちが、ESGに懐疑的な目を向け始めています。

金融市場の混乱やロシアのウクライナ侵攻もあり、持続可能性を掲げるファンドへの資金流入は減速しているのが現状です。

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