SDGsの17の目標と169のターゲット
SDGsには17の大きな目標があり、それぞれに平均10個ずつくらい同じようなターゲットが存在し、合計で169個あるので169のターゲットと言われています。
今回は目標1「貧困をなくそう」について紹介します。
貧困をなくそう。
SDGsが定義する「貧困」とは?
世界では、5人に1人(3億8500万人)の子どもたちが、「極度にまずしい」暮らしをしています。
世界銀行*で定められた国際貧困ライン。1日1.9ドル未満で生活している人のこと。
この国際貧困ラインは当初1.25ドルだったものが、2015年10月に1.9ドルに引き上げられました。
(*世界銀行とは?→貧困削減と持続的成長の実現に向けて、途上国政府に対し融資、技術協力、政策助言を提供する国際開発金融機関のこと。)
世界の貧困率と貧困層の数
世界の貧困率は1990年の36%から2015年には10%に減っています。しかし、貧困に苦しんでいる人たちは今も世界中に7億3600万人もいます。
南アジアとサハラ以南アフリカの国々がこのうちの70%。その他の50%を中国、インド、インドネシア、ナイジェリアが占めています。
貧困は発展途上国、後進国だけの問題に思われることが多いです。
しかし、実際は先進国でも3000万人もの子どもたちが今も貧困の中、暮らしています。
(参照:Regional aggregation using 2011 PPP and $1.9/day poverty line)
(参照:世界銀行「世界の貧困に関するデータより」)
※国際貧困ライン(1日1.9米ドル以下)の生活 ※2020年1月現在
出典:「Ending Extreme Poverty: A Focus on Children」 (UNICEF and the World Bank Group/2016)
全世界を見てみると、現在も多くの人々が以下のような貧しい生活を強いられている状況です。
1日1.25ドル未満で暮らしている
十分な食事ができなくて、常に空腹状態
きれいな水を手に入れることができない
衛生施設を利用できない
経済が成長した国でさえも、一部のでは貧困から抜け出せなずにいる方もおり、このような貧困に陥ってしまった人々を救うために、目標1「貧困をなくそう」は掲げられました。
日本の貧困状態
それでは、日本の貧困状況はどのようになっているでしょうか。
日本の貧困状況は、上で説明したような貧困の形態とは異なっています。
日本には公式な貧困ラインはありません。しかし、OECD(経済協力開発機構)の作成基準 4に基づいて相対的貧困ラインを算出すると、年収122万円以下で暮らす人々は貧困であると考えることができます。
相対的貧困とは、ある地域のなかで、大多数の人の生活レベルよりも経済的に貧しい状態のことを言います。
日本で年収122万円以下で暮らす人々は、2015年には15.6%にものぼります。貧困ラインは1997年の149万円をピークに下降するなど、厳しい状態が続いています。
この数字から、日本はOECDに加盟している37カ国中、7番目に貧困率が高い国でした。
相対的貧困は、様々な問題を引き起こす原因となるものです。お金がないと病気になっても病院に行くことはできず、教育を受けるチャンスも限られてしまいます。
進学をあきらめて家計を助けるために働いたり、貧しいために他の人から差別される原因になることも少なくありません。社会の様々なサービスから取り残されて、貧しさが貧しさを呼ぶことになってしまいます。
こうした貧困の連鎖を断ち切らなければなりません。
(出典:厚生労働省「国民生活基礎調査」,2017)
達成のための目標
1−1 2030年までに、世界中で「極度に貧しい※」暮らしをしている人をなくす。
※1日あたりに使えるお金が(食事、水、電気、住むところや着るもの、くすりなどすべて合わせて)1.25米ドル(約135円)未満で生活しなければならない状態
1−2 2030年までに、それぞれの国の基準でいろいろな面で「貧しい」とされる男性、女性、子どもの割合を少なくとも半分減らす。
1−3 それぞれの国で、人びとの生活を守るためのきちんとした仕組みづくりや対策をおこない、2030年までに、貧しい人や特に弱い立場にいる人たちが十分に守られるようにする。
1−4 2030年までに、貧しい人たちや特に弱い立場にいる人たちをはじめとしたすべての人が、平等に、生活に欠かせない基礎的サービスを使えて、土地や財産の所有や利用ができて、新しい技術や金融サービスなどを使えるようにする。
1−5 2030年までに、貧しい人たちや特に弱い立場の人たちが、自然災害や経済ショックなどの被害にあうことをなるべく減らし、被害にあっても生活をたて直せるような力をつける。
SDGsによる達成のための方法
1-a 開発途上国、特に最も開発が遅れている国で、「貧しさ」をなくすための計画や政策を実行していけるよう、いろいろな方法で資金をたくさん集める。
1-b それぞれの国や世界で、貧しい人たちのことや男女の違いなどをよく考えて政策をつくり、「貧しさ」をなくすためのとりくみにもっと資金などを増やして取り組めるようにする。
日本においてはあまり関係ないように思われがちですが、日本でも一人親世帯を中心に7人に1人は貧困の定義に当てはまるそうです。厚生労働省 国民生活基礎調査 朝日新聞記事
私たちにできること
貧困をなくすためには、私たち一人ひとりが貧困問題についてきちんと理解し、できることを考える必要があると思います。
知ることによってできる事、知らない人に情報を提供し、一人ひとりが貧困問題に少しでも意識を向け個人ができることを考えることによって、貧困問題は大きく改善することができます。
以下で、貧困をなくすために私たちができることについての考えや事例を紹介します。この情報によって行動を変化される方や身近な方に情報提供することでちいさな変化が起こることを想像しています。
Mr.Childrenの曲「彩り」の歌詞が好きで、この曲の歌詞は仕事を通しての歌詞ですが、その歌詞がこのSDGsの個人の活動に広がりを生むことことを期待しています。
僕のした単純作業がこの世界を回り回って まだ出会ったこともない人の笑い声を作っていく そんなささいな生き甲斐が日常に彩りを加える モノクロの僕の毎日に少ないけど 赤 黄色 緑
なんてことのない作業がこの世界を回り回って 何処の誰かも知らない人の笑い声を作ってゆくそんな確かな生き甲斐が日常に彩りを加える モノクロの僕の毎日に温かなピンク増やしていく きれいな彩り
mr.children 「彩り」 作詞 Kazutoshi Sakurai
情報発信
まずは自分自身が正しい情報を入手し、身近な人に正しい情報を伝えることを始める。昔何度か講演会に参加したネットワーク「地球村」の活動がまさにその形で活動されています。まずは自分自身が無理なく行える活動が持続可能な活動となると考えています。
出来ることから行う
日本でも色々な支援団体が活動されているので、その活動に参画したり、無理のない範囲で金銭的な支援を行う方法もあります。
また正しい情報を入手し、フェアトレード商品を購入するなども間接的に貧困をなくす活動となります。
※フェアトレードとは直訳すると「公平・公正な貿易」。つまり、開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す「貿易のしくみ」をいいます。正規の値段で仕入れた「コヒー」や「チョコレート」を意識して購入することでも間接的に支えとなります。
支援団体への寄付
貧困の原因はその地域によって異なりますが、問題解決にはそれぞれ現地の方々と協力しながら、長期にわたって取り組む必要があります。
最近ではクラウドファンディングのようなプラットフォームもありますので、わずかであっても活動に賛同し寄付することで役立つことにも繋がります。
ボランティア活動
貧困をなくすためにできることは、支援団体に寄付するだけではありません。ボランティア活動に参加することも立派な貧困をなくすためにできる活動の一つです。
現地で活動するだけではなく、身近なところから始められるボランティア活動があります。募金の呼びかけやイベント活動の手伝いなども間接的に貧困をなくすために有効です。
日本においても「こども食堂」の活動などは貧困だけでなく、地域交流の場としても期待されています。
また、日本においては、歴史のある地域のライオンズクラブやロータリークラブに支援を要請することも有効な活動方法だと考えられます。
どちらのクラブも奉仕活動を行う事をテーマとしており、毎年新たな奉仕事業を行うため事業計画を立てています。
参画される方は皆地域において事業に成功された方々ですし、入会の経緯はそれぞれだったとしても何か社会の為に役立ちたいと考えられている方々です。
課題としては、現状の貧困における課題とクラブに入会されている方々の認識のギャップだと感じます。
どちらの地域においてもインターネットで調べると活動団体はあると思いますのでアプローチされると事業活動とマッチングする可能性は大きいと思います。
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