お米で味が変わる
お酒になるお米は酒米と呼ばれ、日本酒の原料として適したお米のことです。
正式には酒造好適米又は醸造用玄米と呼ばれています。
新品種が次々生まれ、その数は100種類を越します。
酒米の特徴は粒が大きく柔らかで、新白(米の中心にある白く不透明な部分)が大きく、タンパク質や脂肪が少ないなどが酒米の条件とされています。
酒米を育てるには窒素分が多いとお酒の味に影響するためできるだけ窒素肥料や農薬に頼らず酒米を生産する農家もいます。
美味しいお酒の酒造りには原材料を含めた造り手の情熱が伝わり、自然環境と伝統産業が支えています。
四大酒米 山田錦
最も有名で「酒米の王・横綱」と呼ばれています。
味にボリュームがあり、バランスのいいお酒になります。
全国新酒鑑評会で金賞に選ばれるお酒の大半のお酒に山田錦が使用されています。
1985年(昭和60年)頃から、酒米に山田錦(Y)を、酵母にきょうかい9号(K)を使用し、精米歩合を35%まで高めれば、鑑評会で良い成績が獲れるとする「YK35」という公式のような言葉が酒蔵関係者の間で使われるようになりました。
このため、鑑評会では2000年(平成12年)度から山田錦の使用割合別にI部とII部を設け別々に品評するようなるほど評価の高い酒米です。
心白の大きいさがほどよく、大吟醸のように高精米しても砕けにくのも特徴の一つです。
家飲みブログで紹介した「磨きを極めた大吟醸」で紹介した獺祭の多くも山田錦を使用しています。
東北の米どころの酒蔵でも上級クラスの大吟醸は山田錦を磨いて造ることが多いです。
現在作付けNO.1の人気米で兵庫県が主産地です。
四大酒米 五百万石
米どころ新潟で開発されたロングセラーの酒米です。
育成年の昭和32年に新潟の生産量が五百万石を突破したことを記念して命名されたそうです。
40年もの長きにわたり生産量一位でしたが、2001年に山田錦に抜かれました。
「山田錦」が「西の横綱」と呼ばれるのに対して、「五百万石」は「東の横綱」に位置する人気の酒米です。特性が安定しているこの2品種は生産量も多く、山田錦が全体の約4割、五百万石は3割弱を占めます。
心白は大きいですが50%以上磨くと割れやすくなり、大吟醸には不向きです。
淡麗できれいな酒質に定評があります。
新潟産だけに耐冷性があり、早生品種です。
四大酒米 美山錦
長野県で開発された酒米です。
突然異変によって誕生した比較的新しい酒造好適米です。
醸した酒は、スッキリと軽快な味わいとなります。
山田錦ほど心白は大きくはないですが、北アルプス山頂の雪のような心白があることから美山錦と命名されています。
主産地は長野ですが、耐冷性に優れた品種で秋田、山形、岩手など東北地方で広く栽培されています。
山田錦、五百万石につぐ第3位の生産量です。
四大酒米 雄町
山田錦の先祖にあたるといわれる古い品種で、原生種の酒米です。
全国でも栽培されていますが、9割は岡山県産です。
特に、岡山市、岡山市瀬戸(旧瀬戸町)、赤磐市赤坂町地区産のものが有名です。
雄町は優秀な酒造好適米として各地で交配種として使用され、山田錦や五百万石などの優良品種の親として重宝されています。
交配種には、改良雄町、兵庫雄町、広島雄町などがあります。
現存する酒造好適米の約2/3の品種は雄町の系統を引き継いでいます。
柔らかい軟質米で、米が溶けやすいので味幅がでるフルボディタイプです。
伝説の酒造米「亀の尾」の復活
伝説の酒造米「亀の尾」は漫画『夏子の酒』で知りました。漫画では「亀の尾」の復活は新潟県の久須美酒造が中心に描かれていましたが、山形県の鯉川酒造も同時期に復活栽培に尽力した様です。
もともと「亀の尾」は穂丈が高くなりすぎるので倒伏しやすく、科学肥料を使うと極端に米が脆くなる栽培が難しいお米です。
現代の農法は多く収穫され科学肥料で育つお米が主流で栽培されなくなった経緯があります。
伝説の酒米として有名になりこれを使えば自動的に良い酒が出来る様に思う人も多い様ですがこのお米は酒造好適米に指定されていない事からわかる様に作りにくいお米です。
一度消えた「亀の尾」を使用した酒造家も50場を超すまでになっていますが「鯉川」ほどうまく使いこなしているお酒はないというのが著者の見解です。
復活する原生種 強力
鳥取県は人口60万弱の小さな県ですが酒蔵が17件もあります。
日本酒生産量は年間700Kリットルで、そのうち4割が純米酒です。
その鳥取県で復活栽培し続けている酒米が強力です。
大粒品種で粗タンパクが少なく、硬く割れにくい品種です。
山田錦や雄町同様の線状心白を持ち、理想の外硬内軟の蒸米ができます。

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コメント
コメント一覧 (1件)
[…] 酒米の「山田錦」については、過去のブログ「家飲み 純米酒を極める! 四大酒米」や「家飲み 純米酒を極める 酒造米へのこだわり」でも紹介してきました。 […]