紹介本 『最強の働き方』

目次

佐藤優 直伝! 最強の働き方/ 自由国民社

この お勧め本紹介を通じて本を読むことの楽しさや色々な価値観を知り、成長に繋がることを紹介したいと思っています。

今回は2019年4月の働き方改革を受けて8月に発刊された佐藤優さんの本を紹介します。

その後2020年初頭から続くコロナ禍で緊急事態宣言を受け一時的に人流を抑制され労働環境が大きく変化しています。

日本社会の根底にある労働環境の課題については2年前からも自助努力で解決できないくらい深刻な状況に変わりはありません。

知の巨人と称される佐藤さんの労働観についてなど、朝日カルチャーセンターの連続講義の内容がもとになっているので読みやすい内容です。

残酷な社会で生き抜くための働き方

本イメージ

この本は、NEWSPICSの対談番組「はたらく哲学」で佐藤優さんと北野唯我さんの対談を見たのがきっかけです。

最近出版された「仕事に悩む君へはたらく哲学」も機会があれば紹介します。

作家としての佐藤優さんの本は元外交官です。

国際関連や宗教などに関連した本は、目にしていました。

今まではたらくことについて語らているを知らず、興味を持ち購入しました。

元号が変わって令和となった2019年4月働き方改革が施行されました。

それは、非正規雇用は拡大し、ほとんどは「働いても働いても生活が豊かにならない」ワーキングプアが大きな課題となっていることです。

状況が改善することなく新型コロナによる社会混乱は更に非正規雇用者など社会的弱者の生活を脅かしています。

組織内で一生懸命に働き、歯を食いしばって耐えていくだけではもはや生き残れないと伝えてます。

この様な労働環境下でいかに生き抜くかについて具体的な方法が示されてます。

佐藤さん自身も外務官僚のエリートとして働いていながら当時国策捜査と揶揄される捜査で逮捕され、失職にさらされます。

組織における不合理も十分理解しながら、突然組織から見放される形でも生き抜く強靭さは説得力があります。

学生時代からマルクス主義を深く学ばれているので、解決策といてマルクス経済学の理解と、資本主義社会の本質をしっかりと捉えることを伝えています。

働き方改革で格差は更に拡大する

今回の総選においても、自民・公明の与党は安定多数の議席をとり、コロナ対策を含め政策が認めらた形です。

新政府は「新しい資本主義実現会議」で、成長と分配の具体的な「緊急提言」がまとめられました。

看護、介護、保育などの収入を増やしていくための見直しを検討しています。

小手先の分配にだけに着手しても大きく労働環境が改善するものでもないと思います。

このブログで紹介した「隷属なき道」で紹介したニューヨークのゴミ取集運搬者は厚遇されてます。

このように日本のエッセンシャルワーカーへの処遇を抜本的に見直す政策を立てて欲しいと思います。

鈴木財務相が「企業の内部留保がかつてないほどたまっている」と指摘し、それを問題視していても分配できる政策誘導を進めて欲しいものです。

労働者の自己実現はない

カール・マルクスの『資本論』を理解することで資本主義システム維持するためには、労働者は搾取され続ける現実を知る必要があります。

労働者と資本家の関係性を考えてみると理解は深まります。

労働者は自由で平等な関係で資本家と雇用契約を締結し、嫌になれば民法上2週間で契約を解消することができます。

そして契約時間内、職務の範囲内だけ資本家のいうこと、(業務命令)を聞き、規則を守ればいいのです。

例えば労働者を時給1000円で雇っていれば、企業は絶対に1000円以上儲けがある前提です。

その儲け(利益)は資本側からみると「利潤」で、労働者からみると「搾取」となります。

資本主義社会において、「搾取」は合法です。雇用契約をして労働者に賃金を払っていても、労働者が生み出している付加価値に対しては支払わなくてもいいのです。

労働者自身も働く能力はあるが、生産手段がない場合は雇用されないと労力を使うことは出来ません。

雇用されたら、企業の業務命令に従って働くしかない。つまり労働者は労働の主体にはなっていません。

「私はこの仕事がしたい」「自己実現をはかりましょう」といっても、資本主義において、労働者は自己実現できない。

資本主義においては資本家の自己実現のために働いているこのなります。

労働力を買っている資本家の権利は、少しでも労働者を合理的に、効率的に使って、利潤を増大させることです。

日本において長くデフレが続き物を安く買うことがいいように思われがちですが、安く物やサービスを提供する為に、安い労働力を買う努力をするのが資本家です。

このブログでも紹介した「安いニッポン価格が示す停滞」でも次つぎと安い日本が買われている現実を伝えています。

中小零細企業の数が多い日本企業は一人あたりの労働生産性が低い問題もあります。

賃金を上げていく為には付加価値のある物やサービスに正当な値段をつける必要性もあります。

労働力を売っている労働者の権利は、生活したり仕事を続けたりする、生きる権利ということです。

買い手(資本家)の権利は金の問題、売り手(労働者)の権利は命の問題ということです。

マルクス的に言うと金と命の交換をしているというのが、資本主義の根本的な構造と説明されています。

勿論現代社会において、人間の価値からして明らかに、金より命のほうが上であることは言うまでもありません。

無理な負荷がかかり過ぎると、労働者が再生産できなくなり、資本主義システムがつぶれるということでもあります。

行き過ぎた資本主義とならない為に憲法や労働基準法で、資本家だけでなく労働者の生きる権利を守り持続可能な資本主義の仕組みを形成しています。

会社を辞めてはいけない

自己都合での転職は賃金が3割下がる

本イメージ

今でこそ転職が当たり前のようになっていますが、職を変えることは収入が3割下がるというのが現実であると佐藤さんは述べています。

2回転職すると約半分になり、給料は同じでも労働に関わる負荷は強まっていきます。

今では転職以外にもフリーランスとして請負で仕事をすることが出来るしくみとしてギグワークやクラウドソーシングなどが紹介されますが会社に依頼するより個人の方が安いためです。

結局は自らの時間の切り売りとなってしまうので、作業でなくスキルを身に付ける行動をとりたいものです。

現在の勤務先がブラック企業なのか、教育が厳しい企業なのかの比較が難し場合の判断基準を紹介しています。

まずは、自分より上の人を、5年、10年、15年、20年、25年まで、5年ずつ輪切りにしてみます。

そして、自分より25歳年上の人までで、尊敬できる先輩が1人もいなければ、ブラック企業と考えます。

何人か尊敬できる先輩がいるならば、その会社は成長しているあかしで在籍するこに意味をもつことができます。

アンダークラスという新しい階級

この本の中で佐藤さんは、社会学者早稲田大学大学院教授橋本健二さんが書いた『新・日本の階級』(講談社現代新書)を紹介し、アンダークラスという新しい階級について紹介しています。

  1. 資本家階級(経営者・役員):254万人、就業人口の4.1%。平均世帯年収男性1070万円、女性1039万円。平均資産総額4863万円(金融資産2312万円)。
  2. 新中間階級(被雇用の管理職・専門職・上級事務職):1285万人。就業人口の20.6%。平均世帯年収男性804万円、女性788万円。平均資産2353万円(持ち家がない人は935万円)。
  3. 正規労働者階級(被雇用の単純事務職・販売職・サービス職・その他マニュアル労働者):2192万人、就業人口の35.1%。平均世帯年収男性569万円、女性687万円。平均資産総額1428万円(持ち家がない人は406万円)。貧困率2.6%。
  4. 旧中間階級:806万人、就業人口の12.9%。平均世帯年収587万円。平均資産総額2917万円。貧困率17.2%。
  5. アンダークラス(非正規労働者):929万人、就業人口の14.9%。平均世帯年収343万円。平均資産総額1119万円(持ち家がない人は315万円)。貧困率38.7%。

新・日本の階級社会
(著:橋本 健二)

世界の先進諸国の格差社会は富裕層と貧困層の差が広がることへの課題を指摘されますが、日本においては中間階級層が減り貧困層に移行する傾向が多くなっています。

まとめ

先進国の多くで高齢化が進む中でインターネットテクノロジー、AI、ロボティクスにより課題解決策を進めている中、既得権益で身動きが取れない状況が続いています。

世界のライドシェアリング市場は、2020年には約890.5億米ドルとなり、2021年から2027年の予測期間には20.21%以上の健全な成長率が見込まれています。

高齢化の進むタクシー業界において規制によりライドシェアリングが進められない現実は日本の典型例です。

iPhone13が買えず、 iPhone12が売れ続く現実はこれから先、現在安いスマホしか買えないアフリカ諸国等開発途上国と変わらない未来が訪れることを危惧します。

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