紹介本 『ピーターの法則』

『ピーターの法則』「階層社会学が暴く」会社に無能があふれる理由/ローレンス・J・ピーター

この お勧め本紹介を通じて本を読むことの楽しさや色々な価値観を知り、成長に繋がることを紹介したいと思っています。

今回はこのブログ「読書 ビジネスパーソンに読んでほしい本」の中で紹介した「ピーターの法則」をもう少し詳しく紹介します。

教育学博士 ローレンス・J.ピーターが提唱

ピーターの法則は、南カルフォルニア大学教授で教育学者でもあったローレンス・J・ピーターが提唱した内容を、レイモンド・ハルが共著として出版されたものです。

ピーターの法則は『組織で働く人や階層のある組織体は全て昇進や階層が上位なるとことを重ねていくと、最終的に“無能レベル”に到達する』ということを数々の事例を基に証明していきます。

本書は、1970年に翻訳出版された同名書の新訳版が出版されるほど原著の発行から40年経った今でも読み続けられています。

組織と名のつくところには、必ずと言っていいほど、怠け者や仕事のできない無能な人が大勢います。

また、その無能な人間の部下となってしまった人は仕事を進めていく上で多くのストレスを感じてしまいます。

無能な人間が初めから無能だった訳ではなく階層社会で昇進していくと有能だった個人もいつか無能化する壁にぶつかるということです。

初めから無能な人はその地位に落ち着きそれ以上昇進しませんが、有能な人が管理職に出世した後、無能な管理職になってしまいます。

結果的にすべての階層に無能な人材が占めていまう現実があることをピーターの法則では必然である説明しています。

事例一部紹介 自動車修理工場の無能

R・グリース自動車工場で働くE・ティンカーは、たぐいまれな熱心さと知性を持った見習工でした。

彼はすぐに一人前の修理工に昇格しました。

ティンカーは、原因不明と思われた故障箇所を見つけ出す能力に長けており、修理にもとことん粘り強く取り組みました。

その結果、彼は作業班長への昇進を手にいれたのです。

しかし、作業班長としての職務では、彼の機械好きと完璧主義があだになりました。

彼は、工場のスケジュールがどんなに過密でも、面白そうだと思った仕事は「なんとかやってみよう」と何でも引き受けてしましまうのです。

ティンカーは自分が満足できないかぎりは作業の終了を宣言しません。

絶えず修理作業に首を突っ込んむので、彼が机の前で仕事をしている姿はめったに拝むことはできません。

彼自身がエンジンを分解して鼻の頭を真っ黒にするのはかまわないのですが、本来その仕事をまかされるはずの修理工は傍観するしかなく、ほかの修理工も自分に仕事が割り当てられるのを呆然と待つだけです。

こうなると、工場はどんどん仕事がたまって混乱し、納車が遅れるのも当然のなりゆきということになります。

修理を依頼した顧客にとっては、修理の完璧さより、約束した納期を守る事のほうが重要な意味を持つということをティンカーは理解できないのです。

さらに、修理工たちにとっては、車のエンジンよりも給料のほうが大事ということにも考えがまわりません。

結果として、ティンカーは顧客と部下のどちらの支持も得られないでいます。

修理工として有能だった彼は、いまや無能な作業班長という地位にあるのです。

本書 抜粋

某市役所の公共事業部営繕課の現場責任者だったミニョンは、愛想が良いため周囲の評判が良く、上司も「人あたりも抜群で、文句を言わずに話をちゃんと聞く」と褒めていた。

こういう彼の振る舞いは、現場責任者としては申し分ないものだった。

彼は自分で何かを決めることもないので、上司と議論する必要もなかった。

営繕課の主任が定年退職すると、ミニョンは主任に昇進した。

ところが、彼は相変わらず誰にでも愛想が良く、上司からの指示を部下に伝え、部下からの報告を上司に伝えるだけだった。

主任という肩書きだが、実際はメッセンジャーにすぎない。そのため営繕課の仕事は計画通りに進まなかった。

要するに、有能な現場責任者だったミニョンは、無能な主任になってしまったのだ。

彼は有能さを発揮できていた地位から、無能ぶりを露呈することになる地位へと昇進させられたわけだが、この事態は遅かれ早かれ、あらゆる人に起こり得る。

本書 抜粋

これが「ピーターの法則」であり、「階層社会では、全ての人は昇進を重ね、各々の無能レベルに到達する」

階層社会とは、身分や等級、階級に従って構成員の配置が決まる組織のことです。

ピーターの法則の中では、「前の地位で能力を発揮していたから」という理由で社員を昇進させてしまうことで無能な人を作っていまうと書かれています。

その人物がどのような特徴を持っているのか、どうして成果をあげることができたのかという検証がなされず、組織内の上位ポストに押し上げられてしまうのことが無能な人を生んでしまいます。

現職のポストがその人に最も適していたとしても、「その仕事で成果をあげているから、上位ポストに昇進」とすることで、無能化していきます。

また事例では組織が求める能力以上を自らの意思で発揮してしまうスーパー有能な人も組織の論理では排除される現実も紹介されます。

この事は最近よく議論される有能な人がビジネスにおけるキャリアを積むのに大手かベンチャーか起業かにも通ずることでもあります。

会社組織において社員を適正なポストで起用するためには、管理職として必要な能力を数値化し、評価者の主観に頼らない、明確な評価基準が必要となってきます。

無能な人が上司でいることで組織が活性化されない現実があれば、変化のスピードが激しい今大手でない限り、組織の死活問題となってきます。

昇進の制度と併せて降格の制度、配置転換等しくみづくりも必要となってきます。

どの組織で起こりうるピーターの法則について無能な管理者が多いと感じている企業に回避するための対策が「あしたの人事」のコラムを抜粋して以下の通り紹介します。

ピーターの法則から回避するための対策

人事評価の基準を明確にする

最も急務となるのが、定数的・定量的な人事評価基準を確立することです。

ピーターの法則が生じる一番の原因は、その人の特性を見極めず、その地位に値する能力のない人を昇格させてしまうことです。

年功序列的な昇進制度を見直し、社員一人一人の特性を見極められる評価基準を整備していくことで、無能化の回避につながります。

ただ単に努力する姿勢を評価して上位ポストに昇進させることが、社員にとって幸せとは限りません。

社員の特性を見極め、それを活かすためのポストに配置できるよう、制度を設計するべきでしょう。

「降格」の基準を作る

社員が適性のないポストで仕事を続けることは、会社にとっての不利益になるだけでなく、社員本人にとってもストレスがたまるものです。

本人の能力を活かしきれないポストで無理に仕事を続けさせるよりも、思い切って降格させたり、別のポストに移してしまったほうが、本人もやりがいを持って仕事にあたることができます。

長く勤続すれば順番で昇進していくのが当然だった従来型の人事制度では、このような降格や異動の基準が明確でないことが多々あります。

降格や異動の制度を見直すことも、適正な配置を行う上で大切です。

成長の機会を与える

現場から叩き上げで昇格してきた社員は、現場のことはわかっていても、管理能力が身に付いていないことも多いものです。

昇格させた後のことは本人任せにするのではなく、管理者として必要なスキルを身に付ける機会を企業が用意することも効果的です。

社内で研修会を開いたり、資格取得を会社で支援するなどの仕組みを構築するといいでしょう。

あわせて、成長意欲があり、進んで自己研鑽に励む社員を会社が評価する体制作りも必要です

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 本ブログ おすすめ本へ
にほんブログ村

PVアクセスランキング にほんブログ村

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする