紹介本 『日本の戦後を知るための12人』

目次

日本の戦後を知るための12人/池上 彰/ 文藝春秋

この お勧め本紹介を通じて本を読むことの楽しさや色々な価値観を知り、成長に繋がることを紹介したいと思っています。

今回は、フリージャーナリストとして多方面で活躍中され、テレビでもお馴染みの池上彰さんの「日本の戦後を知るための12人」について紹介します。

2019年(令和1年)に出版された本で2018年から文藝春秋西館で行われた「〈夜間授業〉戦後に挑んだ日本人10人」をもとに構成・編集されています。

戦後の日本を振り返り池上さん独自の視点で※毀誉褒貶(きよほうえへん)の人を選んだとのことでした。※毀誉褒貶 (ほめたりけなしたりする意味のこと)

池上さんならではの切り口で、分かりやすく、解説されています。

第1回 田中角栄 今、見直される理由
第2回 江副浩正 情報社会の開拓者
第3回 小泉純一郎 断言する“変人”政治家
第4回 中内功 価格破壊の風雲児
第5回 渡邉恒雄 読売帝国の支配者
第6回 堤清二 詩人経営者の血脈
第7回 村上世彰と堀江貴文 金儲け至上主義と国策捜査
第8回 石原慎太郎 暴言と思いつきの長期都政
第9回 池田大作と創価学会 政教分離と自公連立
第10回 上皇陛下と上皇后・美智子さま 象徴天皇としての試行錯誤
(目次より)

「戦後日本」に対峙し、変革をもたらした型破りな人々

戦後というフレーズにおいても世代間で大きなギャップあります。

日本がアメリカと戦争したことすら知らない世代もあります。

以下は池上彰さんの〈夜間授業〉「“戦後”を作った10人の日本人」の講演会の講演案内です。

池上さんが生まれたのは1950(昭和25)年。今日の北朝鮮核開発危機につながる朝鮮戦争が勃発した年です。

第二次世界大戦前、大日本帝国の統治下にあった朝鮮半島は終戦後、北緯38度線以北をソ連軍が、以南をアメリカ軍が分割統治する状態に置かれます。

イデオロギーと経済体制の相違による東西対立が激しさを増す中、中国・ソ連の支援を受けた北朝鮮軍が38度線を越えて南へ侵攻。

これに対して米軍を中心とした国連軍が反攻し、53(昭和28)年にようやく休戦を迎えますが、これを機に今日まで続く北朝鮮(朝鮮民主主義共和国)と韓国(大韓民国)という朝鮮半島の分断状態が常態化します。

敗戦から70年余、東西冷戦構造や55年体制は崩壊し、人口ピラミッドも産業構造も大きく様変わりしましたが、わが国をめぐる国際関係や国民のメンタリティにはいまだに「戦後」が強固に根を張っています。

池上さんが戦後日本の代表的人物10人を選び、彼らを通して「戦後」を読み直す連続講義――それが「池上彰さんの〈夜間授業〉」です。

“戦後”を作った10人の日本人  講演会紹介サイト抜粋

12人の一部を紹介します。

田中角栄 今、見直される理由

宝島社から2015年1に発売された『田中角栄 100の言葉』は売れ行きを伸ばし、田中角栄ブームの火付け役となりました。

過去に出版された角栄関連本まで売れているほか、石原慎太郎の「天才」など、後を追うように角栄に関する本が続々出版され、政治家としての魅力など見直しされています。

現在のルールや価値観でその当時をみると、許されない評価もありますが、天才的な人心掌握術を持つ稀代の金満政治家としてリーダーは学ぶべき点も多くあります。

田中角栄は遺産をいくつも残しました。

整備新幹線(北海道、東北、北陸、九州の各新幹線)のように今も進行中のもの、いくつもの障害があって頓挫しているものもあります。

その一方で田中さんが想定しなかったこともあります。

新幹線ができたことによるスポイト効果と呼ばれるものがそれです。

新幹線網で地方と都会を結びますと、地方の人たちが新幹線を使って都会に出て行ってしまう。

あるいは、どうせ買い物をするなら都会でしようよ、善光寺参りは日帰りでやろうよ、ということにもなる。

本四連絡網もこのスポイト効果を助長しています。高松の人も徳島の人も、大阪に買い物に行く。

つまり、地方の人たちをまるでスポイトで吸い上げるように吸い上げて都会に運んだ結果、地方の過疎化が進んでいるのです。

田中角栄が構想した列島改造論には先見の明があったその一方で、思わぬ形を招いています。

これもまた現実なのだということです。

田中角栄 今、見直される理由  抜粋

田中角栄は列島改造論で現在の公共事業の基本を造りあげています。

その事で自身の選挙基盤である新潟県など日本海沿岸の地域が繁栄する政策と考えられていましたが、交通網が整う事でより過疎化が進んだ結果ともなりました。

その後のリクルート事件・佐川事件など金満政治と揶揄されますが、当時の政治体制で派閥運営に当時お金がかかった事実も否めません。

この本に登場する人の中には歴史のたらればがあれば、失脚しなければ、違った今日の日本の形がみてみたかった人物の一人かもしれません。

村上世彰と堀江貴文 金儲け至上主義と国策捜査

個人的には、この一連のニッポン放送とフジテレビの買収に関して、連日マスコミで報道されました。

その後、粉飾決算という事務手続きのミスで逮捕・起訴までされたのは当時、上場企業の社長としては堀江貴文さんだけだったように思います。

日産自動車におけるゴーン社長の逮捕についても堀江貴文さんは検察を非難しています。

現在は当時の状況をユーチューブなどで検証することが出来ます。

【ユーチューブ堀江貴文VS堀紘一】【ユーチューブ堀江貴文①フジテレビVSライブドア】

この章で池上さんは日本の検察の起訴の有り方には、「けしからん罪」という罪があると言う表現をとっています。

不思議なもので、今、社会はこの二人のことを「ああ、時代の中で捕まっちゃたんだな」と感じているような気がいたします。

みんな本当に「許せない」と思っていたら、ホリエモンは刑務所から出てきても活動を再開できなでしょう。

次々に本を出したり、若者から支持されたり、ロケットを打ち上げるという夢に走ったりすることもできないはずです。

本文抜粋

インターネットとテレビの融合という新しい時代の可能性に挑戦していた堀江貴文さんは当時の既得権益の巨大組織を敵に回し世論を報道により敵に回す状況となりました。

堀江さんと同様に当時のソフトバンクも朝日放送を買収しようとしました。

ライブドアは交渉が長引き混乱しましたが、ソフトバンクは拒絶反応のサインを察知した段階で1円も追加のお金を要求せず、潔く諦めて株式を売却しました。

当時「これからはインターネットの時代だ」と将来を見通す力を持っている人は多くいました。

買収がうまくいかない場合は見直す力も必要で、事業は始めるよりやめるほうが難しいと言われます。

ソフトバンクの孫さんは、集中すべき事業は何かを常に考え、始める決断もやめる決断も早く巨大メディアと対峙せず売却の道を選びました。

村上世彰さんも後に出された著書「生涯投資家」で投資の在り方の持論を述べています。

日本でもコーポレートガバナンスを広め、停滞している資金を回し市場を活性化させるべきという事です。

企業価値を上げることが経営者の役割でその為に投資家が物を言うのは世界では常識であることを当時から述べていました。

インサイダー取引として村上ファンドで世間を騒がし、金の亡者、乗っ取り屋の様なイメージをマスコミにより印象づけられました。

現在の日本の株式市場が多くの海外投資家で物言う投資家は当たり前となっています。

日本には、成功する人の足を引っ張る風潮が今もなお存在続けています。

検察が国策捜査をやるときは、とにかく世論の支持を得たいので、容疑者がいかに「金の亡者」であったかのイメージをメディアにリークするんです。

本文抜粋

まとめ

目次の登場人物について名前も平成生まれの世代は知らない人も多いと思いますが、今の時代にインパクトを与えたという意味で興味深い人が多く紹介されています。

平成が失われた30年とか言われている中、閉塞感の漂う今について、戦後からの過程を知ることで見えてくる世界もあると思います。

50代以上の世代にとってはマスコミを中心に、ニュースやスキャンダルで取りださされ、知っている人も多くあるように思います。

皆それぞれ既成概念を超えようと新しいことにチャレンジし続けた姿が素晴らしいという点とその強烈なインパクトから批判されることも多い人物です。

興味を持った人だけを読むだけでも面白い書物だと思います。

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