紹介本 「隷属なき道」/ ベーシックインカムの可能性

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隷属なき道 ルトガー・ブレグマン/  文藝春秋

 ベーシックインカムをご存知でしょうか?

この度のコロナ感染症対策の一貫として、国民全員に一律10万の交付金が支給されました。

支給前には所得等の条件と支給分以上の支給額が予定されていましたが、支給基準の難しさや早期支給を優先し、一律給付に舵がきられました。

この考え方のベースにもベーシックインカムの考え方と拘られと感じます。

ベーシックインカムとは

ベーシックインカムとは簡単に言うと最低限の所得を保障する仕組みです。

国民に対して政府が最低限の生活を送る為に必要な額の現金を定期的に支給する政策で、国民配当/基本所得保障/最低生活保障と呼ばれる場合もあります。

生活保護の様に基準を決めるとその基準に適合しているの確認に費用がかかりますので、一律に支給される事が特徴です。

「生活保護」「失業保険」「医療補助」「養育費・子育て支援」等の個別の条件を定めて支給する方法出なく、保証を一元化して「国民生活の最低限度の収入(ベックインカム)を補償する」ことが特徴です。

私が感じたこの本の3つのポイント

①福祉はいらない、直接お金を配ればいい

②ケインズが予測した週15時間労働の時代

③AIとの競争に勝てない

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福祉はいらない直接お金を配ればい

フリーマネーは人を怠惰にする考えられ貧乏人にお金の扱いが下手で貧乏になっていると想像されています。ケニア・ウガンダにおいてマサチューセッツ工科大学の実験でそのイメージは覆されました。

現金助成は被支援者収入の継続的な増加を促し、家と家畜の所有率も急上昇させ、子供の飢えも減らしています。

世界各地で行われた研究により、フリーマネーの支給が犯罪、小児童死亡率、栄養失調、10代の妊娠の減少に繋がっています。

生活保護の様にある一定の条件で支給される社会保障は、本来支援が必要であっても世間体や他者と違う劣等感などを理由に申請されない事例がある。

皆に支給されることで、その懸念が解消され必要な家庭に支援が届く仕組みとなります。

また、支給条件の審査等無駄な公費の抑制にも繋がります。

別テーマブログ「SDGsを考える」の目標にも貧困、社会福祉、教育等が世界の課題となっています。

一つの政策としての可能性が感じられます。

ケインズが予測した週15時間労働の時代

第二次世界大戦が勃発される前からケインズは100年以内に西側諸国の生活水準は1935年と比較すると1930年の生活水準の40倍となる可能性を秘めています。

ケインズは2030年には社会、技術の進化で週15時間労働が実現すると考えていました。しかし現実は80年代以降労働時間はむしろ増えて、世界の貧富の差は広がり、政府は予算の収支を合わせることができないでいます。

ベンジャミン・フランクリンは4時間の労働を唱え、人生は「余暇と喜び」満ちたものになると予言しています。

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AIとの競争に勝てない

産業革命後AIとロボットが「中流」という人々の仕事を奪い、結果、富の不均衡は極大化します。

今のペースでロボットの開発と進出が進めば、残された道は構造的失業と不平等の拡大に繋がります。

2014年、英オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授らによって発表された論文『雇用の未来ーコンピューター化によって仕事は失われるのか』は、20年後までに人類の仕事の約50%が人工知能ないしは機械によって代替され消滅すると予測しました。


その後、日本の労働環境にあてはめた野村総研との共同研究では、日本人の仕事の49%が消滅するという見通しが公表されました。


2020年5月に公表されたマッキンゼー・アンド・カンパニーの調査では、2030年までに日本中の業務の27%が自動化され、約1660万人の雇用が機械に代替される可能性があると指摘しています。

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まとめ

ベーシックインカムと一日三時間労働というタイトルに興味を持ち読み進めました。現在の労働・社会状況について「豊かさ」がどんな状況にあるか多くの説得力あるデータと過去の比較をもとに解説されています。

非現実的と考えられることも社会の変化AI・ロボット開発等により現実になり得る可能性はあると感じました。富の集中、経済的生産性の低いなくてもいい仕事が高い収入を得ていることへの矛盾についも記されていました。

少し偏った考え方やベーシックインカムの正当性について根拠が乏しいところも見受けられますがショッキングで破棄的に伝えることで変化する可能性も考えられます。

オヴァートンの窓容認できるアイデアの範囲の中で政治家が訴えることも分かりやすい内容でした。

ショッキングで破棄的なアイデアを公表しそこから妥当性のある許容範囲のアイデアを進めていく戦略についても納得がいきます。

この本にも紹介されている通り、借金と消費による金融資本主義が始まる前は技術革新による労働時間の短縮は当たり前のきたるべき未来として受け入れられていました。

生産に人手が必要なくなった世界で社会が破綻せずに存続するためには、今まで人々が信じていた神話を大きく転換する必要があると言う事はこの本の主旨と思います。

  

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