SDGsには17の大きな目標があり、それぞれに平均10個ずつくらい同じようなターゲットが存在し、合計で169個あるので169のターゲットと言われています。
前回は「SDGs 目標14.海の豊かさを守ろう」の一環でスタートしたレジ袋有料化について紹介しました。
今回は同じくプラスチック製のごみを減らすために再度、割り箸の有効性について紹介します。
割り箸にも賛否はありますが、環境が変化することで新たな価値基準で見直しが叫ばれている記事を紹介します。
割り箸が削減された経緯
割り箸は、2000年代に入ると使い捨てがケシカランという運動が始まりました。
その当時を思い出すと外食時においてもマイ箸を携帯する動きなどもありました。
その時期から飲食店においても、急速にプラ箸に置き換えられていきました。
日本の割箸消費は「年間200億膳」でピーク時には250億膳あったそうです。
それでけの木を伐採したら森が無くなり、割り箸を使用すると環境破壊につながるような気になってしまい、イメージが先行したものでした。
日本が住宅用に外国木材を使用していたことは、多くの外国の森林伐採による森林減少とリンクしたイメージもあります。
森林減少の主な要因は農地開発・非伝統的焼き畑農業・燃料木材の過剰採取・森林火災と言われています。「世界の森林を守るために参照」
しかし割り箸の原料となる木材は、本々建築材にならない間伐材や、製材時に出る端材で作られていて無駄にしないために生み出されてものでした。
もったいないの発想から、割り箸として有効利用され発展したものでした。
割り箸の歴史
そもそも割り箸の起源はかなり古く南北朝時代まで遡ります。
建武の新政を実施した後醍醐天皇が足利尊氏に敗れ大和吉野の入られてとき、杉の木を削った箸を献上したのが始まりと言われています。
しばらくの間は宮廷や位の高い一部の人が使用する時期が続きましたが江戸時代の屋台そばの流行に合わせて使い捨て箸が利用されるようになりました。
江戸の屋台そば文化は早く提供することが求められ、それまでは引き裂くことを縁起が悪く思われていましたが、衛生面から二本の箸の根本がくっついている「引裂箸」へと変化していきました。
尚、江戸時代の割り箸は再利用されていて回収した使用済み割り箸は加工されてまた販売されていました。
前回のブログ「レジ袋有料化 その効果はあったのか?」でプラスチック製のごみに関して紹介しました。
レジ袋以外にも世界的には、ストローやフォーク、スプーン、コップなどプラスチック製のカトラリーが削減されています。
スターバックス等は早い時期から、プラスチック製のカトラリーの代わりに木製や紙製が使われています。
今割り箸文化を見直してみる
今や飲食店で出される箸はほとんどがプラスチック箸になってきています。
また家庭で使われる塗り箸と称するものの多くがプラ製です。
本来の塗り箸とは木製の箸にウルシなどを塗ってあるものだが、現実にはプラスチック製か、石油系の合成樹脂塗料が多く使用されています。
大手飲食チェーン店などは、以前、望めば割り箸も出してくれましたが、最近はそれも減ってきています。
自然素材である木製の割り箸は、ゴミになっても自然分解するし、燃やしてもカーボンニュートラルです。
日本の焼却炉は技術が進み、高温で焼却する為以前のダイオキシンの問題はほとんど解消されています。
高温の焼却炉の多くはは重油などで生ゴミを燃やしているそいそうですが、そこに可燃物である割り箸が混ざっていても問題ないと思われます。
物事を多角的にとらえると、コーヒーショップで木製のマドラーなど見ると今こそ割り箸文化を見直してもいいのではとも思います。
コロナ禍でも衛生的な割り箸
コロナ禍で衛生管理が厳しくなっています。
感染対策から陶器やガラスコップで提供されていたものもごみとはなりますが紙コップで提供される機会も増えました。
そのことからも飲食店においても、割り箸の有効性を見直してもいいと思います。
以下は森林ジャーナリスの田中淳夫さんのコラムです。
飲食店は、プラ箸にしたら洗浄の手間が増えて、コスト面でも貢献していないという調査結果も出ている。
また寿命も、だいたい1年で交換だそうである。表面に傷が増えてくると、洗っても汚れが落ちにくいし、見映えが悪くなるからである。つまり交換の度に莫大なプラ箸が廃棄されている。
逆に考えれば割り箸は、必ずしも一度で使い捨てしなくてもよい。自宅用なら洗えば十分長持ちする。我が家では、だいたい1週間ほど使う。昼と夜使うとすると、14回の使用だ。
一人年間50膳ぐらいの消費だろう。無駄遣いとは思わない。
そこで現在の割り箸の年間需要量を調べてみた。
ところが、まったく見当たらない。統計が見つからないのだ。そもそも私が割り箸の本を出版した2007年時点で毎年の生産量などが示されていた。
また13年に調べた際にも、簡単に見つかった記憶がある。森林・林業白書にも取り上げられていたが、今はどこにも記されていない。
ていたが、今はどこにも記されていない。
もし現状を知っている人がいれば教えてほしいが、2005年に259億膳で、これがピークだった。
13年時に出た11年時の統計では、約195億膳。おそらく、その後も減り続けているだろう。
昨年、今年は、コロナ禍で飲食店の休業も多くなったから、とくに減っているはずだ。
しかしテイクアウト用や宅配では、割り箸の需要は増えている。
たいていは中国製の安いシラカバ製や竹製だが、多少とも食事を豊かな気分にしたいと国産の高級割り箸を付けるケースも徐々に出てきた。
割り箸販売会社には、SDGs絡みで使用を検討する問い合わせが増えているそうだ。
国産割り箸は、スギ製やヒノキ製、それに北海道のトドマツ製が多い。
いずれも木工品としても優れている。
手に直接触れる木肌は水分を適度に吸収してくれるし、軽くてつかみやすい。
価格は中国産より高いが、1膳数円程度にすぎない。
レジ袋を購入する感覚なら、たいして負担感はないのではないか。
気になるのは、このところ国産割り箸の生産量が落ちる一方で、価格が上がっていることだ。
理由は原材料不足のためである。国産割り箸は、丸太を製材した際に出る背板などの端材や、細くて製材に向かない間伐材から作られる。
ところがそうした木材は、今やバイオマス発電の燃料として引く手あまたなのだ。
FITで価格が嵩上げされているから、割り箸用に出荷するより有利になってしまっている。
しかし付加価値を付けずに燃やすことが環境に優しいと言えるのか。
残念ながら製造元の減少が続く。国産割り箸の一大産地である奈良県吉野の製造元も、10年前の約3分の1、30社ほどまで減ってしまった。
一方で、新たに国産割り箸の分野に参入する例も各地に出てきた。
高級割り箸に特化して、贈答品や自宅遣い用という分野を開こうとするメーカーもある。
「割り箸は使い捨て」のイメージから脱して、持続可能な社会を築き、人々に木肌の心地よさを伝えるアイテムとして見直すべきだ。
今こそ、割り箸復権の時代ではないのか。
NEWSPICS コラム抜粋
まとめ
SDGsについて興味を持つことや昨年から続く新型コロナ感染で、今までの常識が大きく変化していくことを感じます。
「強い者、賢い者が生き残るのではない。変化できる者が生き残るのだ。」は進化論で有名なダーウィンの名言です。
多くの情報が日々更新される中で、自らの最適解を導きだすには色々な意見から固執せず多様性を受け入れる感覚が必要と感じています。
今回は割り箸の有効性を唱える意見を紹介しましたが、また違う意見もあるかもしれません。
プラスチック製のごみの事を考えればお箸もプラスティック製でなくてもいいとも思います。
昔ながら地域の小さな飲食店では変わらず割り箸を使用し続けているところもあります。
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