在宅生活において居宅介護支援事業所のケアマネージャー(介護支援専門員)(※以下ケアマネ)の役割は大きいものです。
在宅サービスにおいてどのサービスをどのように利用するかのプランを立てるのはケアマネの仕事です。
サービス事業所が地域の介護が必要な方(利用希望者)に直接アプローチをする方法は下記の理由で難しいです。
新聞折り込みやポスティング等販促効果が少ない
(理由)
- そもそも新聞購読家庭が減少している。
- 商品購入は普通は本人の意思ですが、介護サービスは自らの意思より家族の意向が優位。
- サービス内容を知らないエンドユーザーにはチラシ内容では伝わらない。
- そもそも介護保険制度を理解しないとサービス利用に繋がらない。
- ポスティング反響率は5000~8000件に1件と時間効率が悪い。
サービス事業者は、自らの販促活動で直接の問い合わせを頂くことは、統計的に困難です。
その為に各市・町の担当者と連携がはかれていて、地域の要介護者情報に詳しい居宅介護支援事業所(居宅)のケアマネに訪問する様になります。
サービス事業所が居宅訪問する必要は以下の事が想定されます。
ケアマネ営業をする理由
- 地域の要介護者の情報も持っている。
- ケアマネの多くが介護サービス事業所で勤務経験のある為、サービス内容を理解していいる。
- 皆が営業を行うので地域のサービス事業所の情報を多く知っている。
- 利用対象者がサービス利用を望んでいない事例も多い。
- 利用を望んでいない方へのサービス導入時にサポートして貰える。
- 在宅生活の課題解決手段としてサービス事業所情報を蓄積している。
サービス事業所が居宅訪問時は下記ついて留意する必要があります。
公正中立なケアマネジメントの確保
ケアマネジャーは契約時の説明等利用者の意思に基づいた契約であることを確保するため、利用者やその家族に対して、利用者はケアプランに位置付ける居宅サービス事業所について、複数の事業所の紹介を求めることが可能であることを明文化「すよう義務付けれられています。
また、利用者は、サービス事業所をケアプランに位置付けた理由を求めることが可能であり、これらに違反した場合は報酬が減額されるペナルティもあります。
例えば利用者がデイサービスの利用を希望した場合も複数の事業所を案内するよう明確化する必要もあります。
ヘルパー・デイサービス・福祉用具のサービスにおいては特定の法人の利用割合が80%を超えれば報酬が減額されるペナルティもあります。
予断ですが、経済産業省の生産性向上に関するレポートでは、訪問介護事業所の統合による業務効率、生産性向上の阻害要因として集中減算について指摘もあるので、居宅訪問時の話題に活用してみて下さい。
上記も踏まえ自施設のサービスが利用者へ案内されるような見栄えのいい販促物の作成は必須です。
※販促物には建物を大きく写真で案内するのではなく、ソフト面(職員、利用者の様子や職員コメントなど)を中心に親近感がわく素材を活用します。
効率のいいケアマネ営業
まずは厚労省が運営する「介護事業所・生活関連情報検索」で以下の要領でサービスを提供している市町村の居宅介護支援事業者情報を検索しましょう。
- 都道府県を選びます。
- 「目的や場所に合わせて介護事業所を探す」を選びます。
- 「受けたいサービスを選択してください」で「介護の相談にのってもらう」にチェックします。
- 「サービスを受けたい地域を選択してください」の「タブの市町村名から探す」でサービスを運営している市町村を選び、検索します。
この選択でサービスを運営している市町村の居宅介護支援事業所の全ての情報が確認できます。
次にエリアの居宅介護支援事業所情報をスプレッドシート等整理します。
整理する居宅リストは、居宅名・ケアマネ数・住所・電話番号等自らの事業所で必要と思う情報を整理します。
ここで大事な情報は、居宅介護支援事業所の情報の「事業所の詳細」の「サービス内容」の「ケアマネジメントの公正中立性の確保」の「前6ヶ月間に作成したケアプランにおける同一事業所によって提供された各サービスの割合と事業所名(上位3位まで)」の割合です。
居宅介護支援事業所は公正・中立と謳われていますが、実際には自法人割合が高い居宅など特性が分かります。
ここで上位3位までの割合の%が低い居宅介護支援事業所においては、新規サービス事業所の参入障壁は低いと考えられます。
同じ時間営業に行くとしても時間効率を考え、グーグルマップ等で自施設事業所から近い居宅介護支援事業所をリストアップし、紹介割合を確認し、営業優先順位を作成しましょう。
ケアマネに信頼されるサービス事業所担当者とは
ケアプランを立てる上で下記の様な場合はサービス事業者から連絡が入ります。
複数のサービス事業所とお取引のある居宅ケアマネは自ずとサービス事業所を比較しています。その情報共有が少ないサービス事業所への紹介案件は減ってしまう可能性もあります。
サービス事業所としては最低限情報共有が必要な内容は以下のようなことです。
- 初回利用やデイサービスの無料体験(禁止する県もある)後にサービス状況を報告する事業所。
- 利用者都合でサービス提供をキャンセルされた場合に報告する事業所。
- ケアに関わる状態変化を事前に報告する事業所。
- ケアマネが紹介しサービスが始まるので、紹介に値するサービス提供とマメな報告。
- 利用者本人や家族に不快感を与えない事業所。
- 責任者や生活相談員等のみならず介護職員も担当ケアマネを認識し、情報共有出来る事業所。
- 本人や家族の状況も踏まえ極力受け入れる体制が整える事業所
逆に信頼を損ねる下記のような内容は控える必要があります。
- 愛想がない。
- ケアマネの忙し月末・月初にしか訪問しない
- 利用者、家族等のお困りごとのみ報告する。
- 空きが出来た時のお願いにしか連絡をしない。
- 家族からの苦情連絡が頻繁に入る。
情報共有方法
情報共有方法について、日々忙しい居宅ケアマネに連絡を入れることに躊躇することも理解出来ます。
その場合はサービス担当者会議や提供実績を訪問持参した際等に個別にケアマネに聞いてみてはいかがでしょうか。
情報共有の内容の緊急性や重要性にもよると思いますが、以下のような報告内容が考えられます。
- 事業所への電話・FAX
- 携帯電話への電話・メール・ライン等
電話での連絡は訪問モニタリングやサービス担当者会議等の状況を踏まえ、緊急性や重要性がある場合がいいかもしれません。
但しケアマネの業務の進め方は人それぞれの価値観がありますので、それぞれのケアマネと対面で話す機会に確認しておくことをお勧めします。
コロナ禍で一部オンライン面談も引き続き認められていますが、モニタリング等は原則今後も対面面談の流れは変わらない様ですので、とにかく忙しく動かれている事を想定して対応することをお勧めします。
家族とサービス事業所を繋ぐ調整役
日頃から連絡体制がスムーズでサービス内容も評価頂けている居宅ケアマネは事業所側から利用者又は家族に直接お伝えしにく内容でも相談することが可能です。
想定していないミスで利用者・家族にご迷惑をお掛けすることもありますので、その場合も包み隠さず情報共有を行うことで、サポート頂けることもあります。
日頃より誠実に居宅ケアとの関係性構築に務めることが重要です。
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